261
ひとへは
白き。ひの裝束の紅のひとへ。袙などかりそめに著たるはよし。されどなほ色きばみたる單など著たるは、いと心づきなし。練色のきぬも著たれど、なほ單は白うてぞ、男も女もよろづの事まさりてこそ。
262
わろきものは
詞の文字あやしくつかひたるこそあれ。ただ文字一つに、あやしくも、あてにも、いやしくもなるは、いかなるにかあらん。さるはかう思ふ人、萬の事に勝れてもえあらじかし。いづれを善き惡しきとは知るにかあらん。さりとも人を知らじ、唯さうち覺ゆるもいふめり。難義の事をいひて、「その事させんとす」といはんといふを、と文字をうしなひて、唯「いはんずる」「里へ出でんずる」などいへば、やがていとわろし。まして文を書きては、いふべきにもあらず。物語こそあしう書きなどすれば、いひがひなく、作者さへいとほしけれ。「なほす」「定本のまま」など書きつけたる、いと口惜し。「祕點つくるまに」などいふ人もありき。「もとむ」といふ事を「見ん」と皆いふめり。いと怪しき事を、男などは、わざとつくろはで、殊更にいふはあしからず。わが詞にもてつけていふが、心おとりする事なり。
263
下襲は
冬は躑躅、掻練襲、蘇枋襲。夏は二藍、白襲。
264
扇の骨は
青色はあかき、むらさきはみどり。
265
檜扇は
無紋。から繪。



